京都駅のピアノ
京都駅に、誰もが気軽に利用できる「駅ピアノ」が置かれています。
昨年12月、京都駅東広場(駅ビル7階)に設置されましたが、今春以降はコロナ禍のため利用中止になっていました。
先月再開したことをニュースで知り、京都を訪れた時に偶然、駅ピアノに触れたことを思い出しました。
昨年末、子どもと京都を訪れた際、帰りの電車を待つ間に駅ビルを散策しました。
長いエスカレーターや階段を上ったり下りたりし、「空中径路」や「南遊歩道」を歩きながら景色を眺めたりや駅ビルを見上げたりしつつ、だんだんと人通りの少ない東の方に向かうと、どこからか軽やかなピアノの音色が聞こえてきました。
辺りを見回すとほとんど人の姿もなく、えっ?と思いました。
イベントなどで演奏するための準備かとも思ったのですが、そうでもないような様子です。
どこから聞こえてくるんだろう。思わず子どもと顔を見合わせエスカレーターを上っていくと、広場の向こうの屋内スペースにグランドピアノが置かれていました。3歳くらいの女の子を連れた女性がちょうど弾き終わるところでした。
誰もが演奏することができる「駅ピアノ」のことをその時、初めて知りました。
ピアノに近づくと、お気軽にお弾きください、という案内が立てられていたので、子どもと一緒にドレミドレミと軽く鍵盤をたたいてみました。
そして、我が子に催促されて弾いた渾身の一曲は「ネコふんじゃった」
外を見ると夕暮れ時、京都タワーが目の前にあります。とても贅沢な空間でした。
その後、先ほど演奏していた女性と子育て話や京都の話をしながら、ほんのひととき楽しく過ごすことができました。
人通りが少ない場所に設置されているのが、なんとなく日本人向けな気がしました。
ふと感じたのはピアノを聴く人だけでなく、演奏する人もまた、通りすがり、ということ。
もちろん何か思うところがあって演奏しに来られる方もいらっしゃると思いますが、ピアノの音色が聞こえたから、そこにピアノが置いてあったから、ちょっと弾いてみたかったからー
弾く人も聴く人も、たまたま通りかかって立ち止まりそして離れていく。
一瞬、寂しさがよぎったものの、この感覚がとても軽やかで心地よく思えた京都駅でのひとときでした。
*現在、新型コロナ感染拡大防止のためのマスク着用や、ピアノに触れる前の手洗い・消毒、ソーシャルディスタンスの確保、その他の注意事項があります。